情報発信!
「正直がいちばん!」
島原市議【松坂まさお】のブログ 松坂まさお公式HP 森岳まちづくり facebookはこちら ↓「以前の記事」の指定月をクリックすると、ひと月分のタイトルが一覧できます。 ↓「検索」にキーワードを入れれば、その語を含む記事が見つかります。 検索
最新の記事
カテゴリ
全体 はじめに 東京学生寮問題 諫干・環境 市庁舎建設問題 商店街とまちづくり 島原の自治と議会 島原鉄道を残せ! 阿久根に注目 島原から日本を変える 戦争と平和 情報発信 オーガニック 社会時評 個人的なこと 行財政改革 差別をなくす 文化・芸術・教育 島原半島は一つ 読書 役所改革 議会改革 未分類 以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 more... 外部リンク
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2014年 01月 23日
昨秋、山崎氏の訃報が流れ、我が敬愛する弁護士さん(僕より年齢は下)がその死を悼んでおられた。氏が弁護士を志すきっかけになったのが高校時代に読んだ『二つの祖国』だとつづっておられたので、この機会に一つ読んでみようと思ったわけだ。 山崎氏の作品群を知っている方には何をいまさらかもしれないが、すごい仕事だ。主人公たちはもちろんモデルがいても、架空の人物であろう。主題を貫くために主人公たちはストーリーを展開する。しかし歴史小説だから、歴史事実は動かない。 日本から移民してアメリカ国籍を持つ二世たちが主人公である。学生時代を日本で過ごした主人公はアメリカで日本語新聞を発行する記者だ。やがて太平洋戦争に巻き込まれていくのであった。二つの祖国とは文字通り日本とアメリカ…… 何がすごいか。作者が動かしたメインストーリー以外は全て史実に基づいているのだ。高校日本史は大化の改新や大和朝廷の話からではなく、この太平洋戦争の記録あたりから入り込めば随分違うかもと思う。40年前に学生時代を終えた記憶で言うと、日本史とは明治維新までだった。一通り太平洋戦争~戦後までさらうのだが、大学入試の出題範囲はほとんど明治までだった。 それから40年、今の学校現場はどうであろうか?40年は先史からの数千年からすればわずかではあるが、今を生きる私たちに一番の影響を与えた重要な年月である。そしてこの作品はこの40年の間に生まれているのだ。1980年ごろの作品だ。(新潮文庫が1986年) 日本語と米語の分かる主人公はこの長編の後半「東京裁判」に関わる。『二つの祖国』は後半東京裁判の法廷記録になっていく。裁判では重視されることのなかった、原爆投下の事実も、すごい描写だ。その後私たちが長崎で検証した史実をヒロシマで主人公たちに経験させている。この東京裁判こそが、我々が習ってきた明治~戦後の解釈の原典だったようだ。 山崎氏は、その裁判記録をきちんと読み直すことで、日本史を再構築し、いわば新しい(真実の)日本史を記録しようとしたわけだ。法廷に登場する判事、弁護団、通訳彼らはまさに歴史に関わっている。 もう少し早く読んでおくべきだったと思うが、仕方がない。 (これから読む人もいるだろうから最後まではレポートしないけど)小説の終わり方は僕の期待している形ではなかった。「重い」終わり方だった。でも読むことが出来て良かったと思う。本を紹介してくれた弁護士さんが その職を選ぶ契機になったということが十分理解できた。一人の人間の生き方を左右するすごい小説だった。
by mmatusaka
| 2014-01-23 17:14
| 読書
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||