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2010年 04月 27日
諫早、長期開門へ 農水省・与党検討委が最終協議
2010年4月27日13時43分 (写真説明) 潮受け堤防をはさんで色の違いを見せる調整池(右)と有明海=2月、長崎県諫早市、朝日新聞社ヘリから 国営諫早湾干拓事業(長崎県)で、潮受け堤防排水門を開けて行う調査の是非を検討する農林水産省と与党の検討委員会が、1年間以上開門する方向で最終協議を始めた。長期の開門は、1997年の湾閉めきり以来初めて。赤松広隆農水相は、早ければ数日中にも検討委から報告を受けた後、開門の決断を表明することにしている。 「止まらない大型公共事業」の典型と言われ、開門の是非で長年地元を対立させてきた事業は、大きな転換点を迎えた。 検討委は、赤松農水相の指示で3月に発足、27日も会合を開いている。座長の郡司彰副大臣が現在行われている環境影響調査(アセスメント)を「中長期開門」を前提にしたものに切り替える案を、与党3党から集まった委員に示す方針だ。協議を受け、郡司副大臣は近く報告書をまとめ、赤松農水相に提出する。 座長案では、潮受け堤防が有明海の環境に悪影響を与えている可能性を指摘。水門の流量や流速に制限を設けたうえで、1年以上にわたって堤防の排水門を部分的に開ける調査が必要とした。開門を前に現在進んでいる環境アセスは、来春までかかる見通しだ。アセスでは、開門した際に周辺海域や土壌に出る影響を調べる。 赤松農水相は開門の決断を前に14、15の両日、現地を視察した。「地元の理解を得たい」としており、検討委から報告書を受け取った後、近く現地入りして開門に反対してきた中村法道・長崎県知事らに面会する意向だ。 97年の湾閉め切り後、ノリの凶作など有明海に異変が相次ぎ、事業を原因と疑う漁業者らは開門を求めてきた。一方、干拓地で畑作をする農業者らは「農業用水用の池に海水が入り込み、使えなくなる」などとして開門に反対してきた。 座長案では、開門の際の塩害対策や被害補償についても検討。農業用水の確保や洪水などによる防災対策について、環境アセスを受けて具体的に決める方針だ。 漁業者らが開門を求めた訴訟で佐賀地裁は08年6月、5年間にわたって常時開門するよう国に命じる判決を出し、国は控訴。09年9月の政権交代で就任した赤松農水相は今月9日、「今年夏の参院選前に政権としての方向性を示し、選挙で国民の審判を受ける」と話していた。 ◇ ■諫早湾干拓事業 湾全体を閉めきり、水田をつくる構想が1950年代に浮上した。目的はその後、水源確保や畑作りに変わり、最後は防災を主目的に89年に着工された。「止まらない大型公共事業」の典型と言われた。97年4月に湾の奥が総延長7キロにわたって鋼鉄製の板293枚によって閉めきられた。日本最大級の干潟が失われ、湾内でムツゴロウなどが姿を消した。着工後、ノリの収穫が不安定になり二枚貝のタイラギが激減するなど、漁業に異変が出始め、事業との関係を疑う佐賀県の漁業者らが中心となって、排水門を開いての調査を求めてきた。一方で、湾内の干拓地の農業者や長崎県の漁業者は、開門の悪影響を懸念して開門に反対し、長年対立が続いてきた。農水省は02年、約1カ月の短期開門を実施したものの、中長期の開門は拒んできた。
by mmatusaka
| 2010-04-27 19:52
| 諫干・環境
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