文化財建物を活かす

　森岳商店街が保存運動で残した「青い理髪舘」が、この度『青い理髪舘工房モモ』として、日経プラス１（日経新聞の特集：2017/11/4付）の何でもランキング、「文化財カフェ」部門の西の第5位に選ばれた。もちろん九州から唯一だ。
　青い理髪舘を保存した経緯は結構ドラマチックだった。単なる文化財という箱モノが残っているだけでなく、現在も活かされて、人々の出会いの場となっていることが誇らしい。

　森岳のまちづくりは、「あるものを活かす」という考え方だ。県内で有形登録文化財が一番たくさんあるのは島原市だ。古臭い建物は壊して新しいものに！という流れに抗して、（昔の建物や町が、じっくり丁寧に作られて来たのに対して、新しいものが目先だけを追い、長く残そうという意思が感じられない軽薄な風潮に流されない。本物を追及しよう！と。）いいものはきちんと評価して残そうと考えたからだ。
　文化庁の「登録有形文化財」指定はいいモノサシだった。で、島原市役所の建設課の皆さんや教育委員会の理解もあって、市内の文化財建物候補を積極的に登録した。理髪舘はその一つだ。あわや取り壊し寸前を食い止めることができた。大家さんの理解もあって、ちょうど僕らのまちづくりマインドが高まっていた時期で奇跡に近い快挙だった。

　そんな流れだったから、森岳商店街には登録有形文化財建物が多い。現在活用を試行錯誤している『森岳酒蔵』（島原城下町本陣酒蔵）も登録有形文化財だ。こちらも大家さんの理解を得て、登録にこぎつけた。母屋とレンガの煙突とこの酒蔵、3点セットでトリプルの登録だ。
　この秋も（11/18）この酒蔵でジャズコンサートを実施する。2000円でワイン（ボジョレヌーボー）を飲みながらジャズに酔いしれる。森岳のまちづくりを盛り上げられればと演奏者たち。（プロではないけど、プロ級だ）まさにボランティアで演じていただく。ワイン代等諸経費実費を差し引いて、演者たちに今年も交通費が手渡せるだろうか？まだ若干席は空いているようす。ご希望の方はすぐに僕にメールでも電話でも090-2587-4622.チケット手配いたします。

　当時、酒蔵でコンサートをやろうじゃないか！と言い出した時は、そこにトイレもなく、工事現場にあるような仮設トイレを運んできた。現在は車椅子の方も利用できるトイレが完備されている。
　駐車場スペースは４台分だが、僕は近隣に駐車してとか公共交通を使ってとかでアクセスして、歩きを楽しんで参集して欲しいと考えている。一応、JA （農協）跡＝現図書館駐車場の北側半分＝拘置所宿舎建設予定地に駐車の許可も得た。そんなこんなで、現在出来る範囲で精いっぱいの背伸びをしてまちづくりに取り組んでいる。