1600円の展覧会

　（7/14土）福岡出張で、どうせ１日つぶれる。（急いで帰宅しても、仕事にならない。）じゃあ何処か観光でもしようかと、「そういえば九州美術館とやらで印象派展をやっているのではないか？」「その美術館は福岡にあるのかな？」「福岡大濠公園辺りにあるのじゃないかな」「それは別の美術館、大宰府にあるらしいよ。」
　で（ネットなどで）調べてみると、九州最大という（しかも）国立の博物館で平成17年に出来た新しい博物館とのこと。どこかで聞いていたのかもしれないけど、ほとんど認識していなかった。大宰府なら、帰路の途中だし、寄っていこうか。と。家内と二人。

　車に付いている「ナビ」を頼りに運転。九州国立博物館入口というT字路をはいると大渋滞に巻き込まれた。ナビではあと600メートルなのに、途中何台も脱落車がUターンして引き返す中、……そこから1時間以上。こんな山奥にこんな博物館が出来ていることを知らなかった。ついてみると、太宰府天満宮側からの観覧者も多く、ものすごい人出だった。
　さすが日本人に大人気の印象派、切符売り場もどこも列をなしていて、人ごみにまぎれての観覧となった。この連休が九州公開の最終日になっていたのだった。それにしてもよくもまあこんなにたくさんの人たちが集まるものだと（自分らもそのひとりであることを棚に上げ）驚いた。1000~1200円ぐらいかなと思っていた入場料は1600円。高いか安いか、僕には高く感じ、（駐車場は1台500円）色んな休日の過ごし方があっていいが、1600円を覚悟してよくもまあ。
　あらかじめ金額を知っていて、しかもこんなに渋滞になるとわかっていたら、もっと安価でのどかな場所を選んだかもしれない。実は我が夫婦は高校時代の美術部の先輩後輩ということもあって、まあシュミが近いわけだ。他の連れに「印象派を見に行こうか？」と言い出せたかどうか。そう考えると、老若男女この展覧会を目指してかくも多くの人々が集まったものだと……ざっと見渡しただけでも数千人は居たろう。この日の売り上げは数千万円だろうと思われる。

　ルノワールとモネの２点だけはスマホで（ノーフラッシュで）撮影していいよという企画であった。結局実物に如くはないのだが、世の複製技術は格段の進歩、記念の図録も複製画も相当の精度だ。文学など複製が常識のジャンルに比べ、絵画彫刻ばかりは何と言っても本物という世界、価格が異常だ。僕は芸術の値段に納得がいかない。

　帰ってきて、数日前の新聞を読んでいると、今回の印象派展は「ビュールレ・コレクション」とかで大財閥所有のものを公開しているのだそうな。この大財閥は、武器を売買して財を成し、集めたコレクションがまた財を産む、何ともやるせない。争う両方の国に共にビュールレの銃器が売られたのだという。

　休日の過ごし方。片や広島・岡山にボランティアで汗を流す人あり。僕らのようにごった返す人ごみにまぎれて美術鑑賞をする者あり。はるばるロシアまで遠征してサッカーを観る者あり（夜中にビール片手にテレビでサッカー観戦するものあり）。色んな価値観があっていい。
　翌日7/15はピアノ発表会。僕は仕事でスナップ撮影。一方でかわいい孫の発表演奏を聴きに行く。京都では祇園祭、そういえば博多は山笠のお祭りとか。