自由の危機②自粛要請はお願いか強制か

　新型コロナの猛威は全国に広がっている。オリンピックを境に各県連日「最多」を更新。長崎県も、例外ではない。長崎市・佐世保市ほどではないが、我が島原市も連日、二人三人陽性報告が続いている。

　長崎県が県独自の緊急事態宣言を発出（8/19）飲食店夜間営業自粛に続いて、体育施設・集会所の休館等を打ちだし、各市町も準ずる形をとっている。

　島原市も、準備期間を数日置いて、8/23より色んな施設が閉鎖。「まん延防止」も追いかけて来たので、さらに閉鎖期間が一週間延びた。

　※図書館・博物館の扱いに差がある事

　　：これは大事な問題なので、次回詳しく報告します。

　もちろん、市主催の　様々なイベントも中止判断が相次いでいる。

　民間が（個人が）やろうとしているイベントも同様だ。昨今の新しい常識で、三密となる人の集まる企画は中止延期も多い。（飲食が伴う企画はさらに厳しい視線にさらされる。）

　名指しで指摘されなくとも、緊急事態宣言を受け止めて、各自「断腸の思い」で中止や延期を決定しているようだ。

　

　民間は、その場所提供や、集会そのものが「生活」に直結する場合もある。飲食店はその典型だ。中止・延期はそのまま、生きる糧（生活費）を奪われることになる。

　公民館の集会は（非営利が原則なので）生活という意味では深刻ではないが、「生きがい」を奪われるケースもある。大事な会議だってある。もとより、1年以上続くコロナ禍の中で、集会を決めて、予約をしているわけだから、『不要不急』のもの。

　しかし、各公民館、体育施設、文化会館、図書館は一斉に、予約団体に中止要請をした（電話）。受け止め方は様々、お願いと取った者、命令強制と取った者。確認してみると、各施設からの中止要請はあくまで「お願い」であったという。

　日増しに広がる感染拡大に、中止か開催かを躊躇している者たちは、背中を押されて、中止して、ほっとしている側面もある。

　一つ、悩ましい問題があった。9/1開催予定だった、島原文化会館の『市民劇場』の演劇の中止のことだ。文化会館は、営利団体も取り扱うわけで、中止要請は、劇団の方たちの生活権を奪うことになるのだ。公演が中止になった場合の損害は誰が負担するのか？と。

　最初、市民劇場側は、中止要請を限りなく「強制」と受け取ったようだが、「お願い」であることを確認して、対策を万全にして公演を実施することに決定したとのこと。そういえば、甲子園野球で、試合が不戦敗になった例があったが、あくまで、高野連が出場を止めたのではなく、その学校が自主的に辞退したのだった。

　

　もともと、東京・福岡など緊急事態宣言下でも演劇公演は継続して実施されていたので、開催前提。「中止要請」を受けて、損害が発生するだけに、かなり悩んだようだ。してみると、あえて「中止要請（問い返すと、あくまで任意ですが）」とせず、「もし、中止になってもキャンセル料は発生しませんから」でよかったのではないか。

　結局、この芝居『母と暮らせば』、長崎が舞台になっている原爆を取り扱った作品。九州縦断公演の途中、長崎市の公演直前（？）に劇団員関係者の中から陽性が出たために（←毎日PCR検査を実施していたようだ。）、劇団の方が公演を辞退、中止となった。市民劇場側に損害賠償等の心配は無くなったわけだが、演劇人たちには大きな痛手。文化の火が消えていかないか心配だ。

　いずれにしても、声に出しての自粛要請もだが、無言の自粛要請こそ厳しい。疫病は、限りなく天災に近い試練。人災の要素もあるだけに悩ましい。アフガンは未だ戦争状態。戦争もまた人災であるが、一般庶民にとってはコントロールできない災禍である。

　平和な時代だったら、制限されることのない「自由」がいま、危機の中にある。