島原市議会12月議会は、決算審査から始まる。9月議会閉会後の決算委員会での審査結果を、12月議会冒頭、決算委員長(林田副議長)が報告し、質疑~討論~採決となる。
12月議会から、島場市議会もようやくタブレット議場持ち込みが解禁された。分厚い予算書決算書議案各資料、全てタブレット経由で見られるようになった。12月議会分からなので、9月の書類はまだ。次回から、随分身軽になる。
いちいち議長の許可を取らずとも、持ち込めるわけだから、この度の討論では冒頭、この分厚い資料を左手に、タブレットを右手に、パフォーマンスをして枕(本題に入る前の伏線)にしようと思っていた。
議会のアイティー化が一気に進んだのは「コロナ禍」の影響なのだ。学校のGigaスクール構想、これは若干急ぎすぎという側面もあるが、小中学生がタブレットで遠隔会議などと言ってるのに、議会が「何それ」というわけにもいくまい。で、一気に議会もアイティー化を進めたというわけだ。
効果的な討論を組み立てようと、一枚の図表を用意した。ところが、タブレットは持ち込んでも、映像で照射するには質問席に行かねばならぬ。(事務局と打ち合わせれば技術的には可能であろうが)自席からの討論となると、これまで通りの(リアルアナログの)図面かな。と。
(図表を使う場合は議長の許可がいるので、)図表を用意して議長室へ。(…これに気を取られて、肝心のタブレットや決算書を自宅に忘れてしまう大失態。)「過去に一般質問以外で図表を使う例は知らない。急に言われても困る。図表など使わないでいいだろう。」と許可が下りなかった。「もっと早く相談しておくべきでした。一応言葉での説明は準備していますので……」と、引き下がった。 馬渡議長に限らず、ここ数代続く議長は、なるべく発言をさせるまいとしているように思えてならない。いちいち制限を付けて「簡潔に!」を連発する傾向にある。で、このたびの討論原稿(A4一枚と数行)を提示して、「これくらい(これだけしか言わないので)なので、途中で止めないでくださいよ。」と釘を刺した。 本会議で使えなかった図表を掲載しておこうと思う。以下、用意した討論原稿。委員長報告等を確認して若干の修正をしたので、本旨を曲げないよう再現してある。(正確には後日確定する会議録を確認ください。******************************************************2021/11/26 令和2年度決算に対する討論(認定の立場) まさにコロナと闘った1年の決算だと思います。今回の決算の期間を改めて確認すると、前年度1月に新型コロナ感染症が確認されて、その3月には全国一斉の休校措置など、年度末に影響が出始めましたが、今回の決算期は最初から最後までコロナとの戦いに明け暮れたことになります。 自粛を余儀なくされたゴールデンウィーク。島原市は、全国に先駆けて10万円の給付を終えました。職員皆様の健闘に敬意を表したいと思います。 時季外れに届いたアベノマスクが6月、7月にはじまったGoToトラベルは第2波を引き起こし、さらに自粛が要請され、年末から年始にかけて第3波が襲いました。島原市も、成人式を中止するなど大きな影響を受けました。 その後、現年度になっても、またしても春の観光シーズンはコロナに振り回され、5月からのワクチン接種事業も大変でした。夏の東京オリンピックで第5波、現年度もウィズコロナの1年になりそうです。 現在執行中の予算、来年度に向けての予算編成に、今回の決算の反省点は十分に生かされなければなりません。二三指摘をしておきます。
決算書全体の数字の上では大きな問題はないように見えます。金額が大きく見えるハード事業等は順調に消化されたし、コロナ対策は給付金事業などこちらも大きなお金が動きましたが、その財源は国から降りてきたので収支のバランスはとれています。
①【ソフト事業の小さな予算規模を甘く見てはいけない】 しかし、ソフト事業、学校の授業時間確保に苦労したこと、各種行事が相次いで中止になったことなど。ソフト事業は職員のマンパワーにかかっていて(人件費に隠れていますので)、これらは予算規模そのものは小さくて、決算書には見えにくいのですが、イベント開催に向けての努力が、イベント中止の案内に翻弄されるなど、空しい仕事も多かったと思います。政府のコロコロ変わる方向転換に苦労されたと思います。 決算規模としては、小さな額なものだから影響は小さいかといえばそうではないと思います。教育的な面、文化的な面が特に心配です。既に、昨年今年と。大学生の途中退学率が増加していると報じられています。それぞれの個人にとっては人生を左右する問題になっています。 例えば、築城400年に向けての予算はほとんど使われませんでした。ソフト予算とはそのまま人と人の交流なので、コロナ下においては仕方がないのですが、こうした島原の今後に関わるムード作りが停滞したことは今後大きな打撃になると思います。 この目に見えにくいソフト事業のダメージ回復をお願いしたいと思います。
②【各種事業の再度の見直しを】 もう一点。この度の決算委員会でも同僚議員がいくつも具体例を上げて、この事業は本当に必要なのかという問いかけがありました。コロナの影響で、中止に追い込まれた各種事業の中で、この事業は本当に必要なのか、こんなに大きな規模でやる必要があったのかと気づかされる場面があったのも事実です。 改めて、事業そのものを問い直し、不要な事業はこの機会に斬り捨てていく勇気も必要なのではないでしょうか。金額で判断するのではなく、目に見えにくい、遠い将来を見越した影響を考えながら精査していただきたいと思います。******************************************************* 今、帰宅後、改めてこの原稿を音読してみると。わずか2分20秒の簡潔討論である。 ところが、議長は討論を始めるや30秒もしないうちに止めに入った。ったく!。「松坂議員、委員長報告の内容に沿って質問してください……」とかなんとか。
委員長報告に対する質疑は(「異議なし」で誰もしなかったので、)「質疑を終結し、これより討論に入ります。」と宣しておきながら、議長の頭はまだ「質疑」時間だったようだ。そもそも、自由な発言を認めようとしないから、何かにつけ止めるきっかけにしようとする。 このたびの決算を簡潔に「コロナ対応の決算」と位置付けて論陣を張る事のどこがいけない事か!いったん(議長の勘違いで)止めに入ると、外野席から相次いでヤジが飛ぶ。勢いを得て、議長の専横は更にエスカレートする。だっまって、討論させれば2分20秒で片付くものを、ちょこちょこ横やりを入れて長引かせる。情けないものだ。
例えば、Gigaスクールのタブレット手配では、1500万円も無駄遣いしたことなど、反対してもよかったのだが、どちらかというと政府のデタラメ施策に振り回された面が大きいので、地方を擁護する立場から、容認の立場に立った。 討論の中で、負の側面に触れれば「それなら反対せろ」とか、単語一つ一つにいちゃもんを付ける野次にはいつも失望させられる。何か違うような気がする。
委員長報告は1時間に及んだ。それでも二日間の委員会審議の目次程度しか報告出来ていない、事務方も委員長も苦労して端折った格好だ。かつての島原市議会では、審査に加わった議員から、委員長報告では納得できず、自分の言葉で討論をする者もいたし、共産党・社会党議員からは反対討論が相次いだ。呼応するように賛成討論も熱を帯び、多様な意見が展開された。世知辛くなったものだ。
故島田議員(共産)などは、「問題点を九つ指摘する!」と前置きして、延々とまくし立てた。議長も、何度か「簡潔に!」を挟むと、あきらめて?もう止め立てはしなかった。僕も何度か「簡潔に!」を打ち込まれながらも、何人かの議員に紛れていた。 情けないが、たった一人の討論にさえ、しかも事前に(指摘するのは2点)簡潔であることを示してさえ、この始末だ。寛容さがすっかりなくなってしまった。 間髪を入れず「異議なし!」と大声で叫ぶことが常態化している。
この日、恩師荒木昭蔵氏の訃報に接す。古き良き時代の本物の議員だった。冥福を祈るとともに、改めて師の遺志を引き継ぐことを誓いたい。