商店主たちの地道な努力

　コロナ騒ぎで、２年間お休みだった「土曜夜市」が帰ってきた。よりによって、過去２回時より感染者数は増えている。苦渋の決断だったと思われる。

　こうした売り出しは商店街活動にメリハリをつけてアピールするハレの舞台だ。おそらく、この一夜のイベントだけなら（一部黒字の事業者もいるだろうけど）赤字の出血サービスだ。この機会に商店街に足を運んでもらい、お店（群）を再認識してもらい、明日からの日々のあきないにつなげていく。

　チラシ、万町商店街の裏が一番街になっている。表が一番街で裏が万町という説もある。単純に折込料折半経費節減ではない、二つの商店街が連携を取って相乗効果をはかっている。

　

　昨日から、がんばスタンプ会では「ダブルプレゼント」売り出し。このスタンプ会の取り組みは、わかりやすい。100円のお買い物でスタンプシール1枚がもらえる。このシールが台紙満杯（250枚）になったら「300円」で使える。この300円相当の満杯台紙で300円買物すれば、通常３枚もらえるシールが、15枚（５倍‼）。そのうえこの期間に、台紙で買い物すれば、１万円のお買物券が当たる！しかも今回は２本！これは、スタンプ会加盟店で（２万５千円以上の）買い物をした人だけの特典だ。

　同じ買い物をするなら、がんばスタンプのもらえるお店で！と誘導するわけだ。これは様々なポイント付与カードと同じ。あくまで、ちょっとした動機付けであって、品物に魅力があって、サービスがよくなければ、お客さんは来ない。

　からくりを紹介すれば、加盟店はこのシール１枚を発行するときに、2.2円を負担する。お客さんへの還元は１円ちょっと（さらにこうした１万円の買い物券など）ともろもろ経費をこの2.2円でねん出する。

　商品価格（売上）には、仕入れを含めて、様々な経費が掛かっている。経費を差し引いた残りが「もうけ」である。お客様は１%の価格に左右される。天候、体調、ふところぐあい、様々な要素で購買行動が変わる。お店の側のサービス・価格・雰囲気・信用・宣伝効果・立地条件・交通の便・……。

　微妙なバランスの中で、価格が決まってくる。いわゆる需要と供給。

　かつてはあきんどにもきちんとした哲学があった。「商売十訓」など、検索してみていただきたい。いつの頃か、需要は存在するものではなく、作るものだ、とか。買い替えてもらうために、ほどほどの耐久性とか。消費（無駄遣い）は美徳、とか。お客様は神様？

　先般紹介した、ふるさと応援旅行券。本来の需要（何処に、誰と、このくらいの値段で）が、破壊される。カンフル剤とか言われるけど。薬（ヤク）が切れたら……。　　

　２%の経費を値引きするか、包装紙をしゃれたものにするか、店員の能力給に乗せるか、ポイントにするか、そんな地道なあきんど達の努力の結果が商品価格なのに、いきなり、外から44%の価格破壊経費補填。4400万円をつぎ込んで、無理やり1億4400万円の経済波及効果を狙う。

　かつての日本国民なら、「倹約」はふつうだった。1万円が102%つまり200円ほどお得とかなら、健全な「需要」が、健全な「供給」を生むだろう。

　しかし、今なら、1万円で1万3千円（裏補填を入れれば）1万4400円のサービスがうけられますよ、となれば、15%のサラ金（高利貸し）から金を借りてでも、無駄遣いしたくなる？そしてコロナに巻き込まれ、サラ金の借金は複利で増えて行く。実に不健全だ。

　

　横道にそれたようだが、……