情報ツール（道具）の見直し＝追悼：井手洋子監督（続）

（中略）

　井手洋子監督急逝の報に接し、昨夜は遅くまで、一人で「お通夜」。故人をしのんだ。Facebook友達なので（でなくても）井手さんの過去の記録をスクロールしながら追った。Facebookに限らず、ツイッターであれインスタであれ、このあたりの情報管理にムラがあり、僕からの「いいね」はまばらについていた。つけていなくても読んでいた記事、つけていても忘れていた記事、まとめて読むと、改めて、井手監督の問題意識は、世代が近いのもあろうが、僕のそれと驚くほど重なっていたことがわかる。こんなことなら、もっと丁寧に情報やり取りをしておいて、色々深めておくべきだったと、悔やまれる。
　そして改めて、「情報」の扱いを（丁寧なやり取りを）うまく出来ていなかったと感じる。
　台風6号の迷走に続く盆の期間、実は、ご多分に漏れず、松坂もコロナに感染してしまって、あと数日ヒトに会わないことになっている。（前半の発熱には手を焼いたが、せっかくの機会、情報の見直しとばかり、清水から飛び降りて、ノートパソコンを新調し、改めてDX（デジタルトランスフォーメーション）しようと試みようとするが、能力か加齢か、コロナ後遺症か、健忘か、遅々として進まず。旧パソコンの備えていた各種技術に未だ追い付いていない。こうして入力する作業も、パソ入れ替えが逆に足を引っ張っている始末。あてにしたい助っ人も（コロナ明けまでお預け～遠隔でやればと、意地悪なアドバイスに、心折れる）……　助っ人に丸投げしてきたコトも反省材料だ。あと三日ほど自力で頑張ろうと思う。
　井手洋子監督が、しばらく、障害のある子供たちとその家族に目を向けた（『ゆうやけ子どもクラブ！』）に専念したのも必然であり、そんな中でも、冤罪事件の問題にも向き合いながら、そしていよいよ『イサカン』の本丸をどう攻めていくか、干潟の再生、それは、自然の持つ力（人々は循環の中で生かされている）、当然今僕が追いかけている「自然有機農法」にもつながってくる。それは、10年前『順天湾：スンチョンワン』訪問の時点で（僕にはきちんと見えていなかったが）彼女には見えていた。だから彼女の撮りためた膨大なビデオ映像や集めた資料がどう、料理されるか、だれもが期待をしていた所だ。　それは彼女にしかできないこととはいえ、イサカンに関わるわれら同志で、何とか生かすことが出来ないだろうかと思うのが人情である。不詳松坂、市議という何ともまだ克服できていない職にあり、その一方で写真屋という、映像関係の仕事を兼務しながら、「井手洋子監督の仕事を引き継ごう！」と声を挙げられないもどかしさ、無力さを痛感する。
　僕は文化系でデジタルは苦手、などと逃げ回って来た。悔しい。映像技術が、（映画作りでフィルム、ビデオ（磁気→デジタル）と変遷して、）途中何度もハードルを越えなければならなかったであろうことは、同じ映像を扱う職にあって、痛いほどわかっている。本来なら、皆の期待を裏切らぬよう「映像の事なら僕に任せてください」と、（知ったかぶりして、深夜遅くまで技術克服の努力を重ねてでも）やりたいところだ。

　Facebook記録を見ると、彼女とは2013年5月から（つまり一緒にスンチョン訪問した時）のFacebook友達。そこまでさかのぼって、当時どのような情報交換をし、いいねを交換し合っていたかを確認したいが、Facebookの仕様なのか、僕のパソコンの（容量的な？）限界なのか、2015年頃までしかさかのぼれない。その頃は、（今ならLINEだと思うが）メーリングリストとかメールでやり取りしながら、韓国への飛行機に乗った記憶があるが、当時のメールのやり取りを探し出せないもどかしさがある。悔しい。　佐藤正典先生や高橋徹先生はどうだろう。同行した10人ほどのメンバーはどうか？
　松坂は（今も、ムラがありながらも）アナログ手段の手書きノートを卒業できない。そういえば、韓国行きでは、デジカメやスマホの充電やら、Wifi環境やら、ずいぶん苦労した。（電源そのものがアダプター変換の必要があった。井手監督はよくぞ異国でカメラを回していたものだ）写真屋のくせに、カメラマンとしてフル撮影ができなかった。電源が切れた後は、ひたすらノートをとったのであった。）
　当時のメール（および一部画像）は探し出せない現状だが、手書きノートは出てきた。冒頭に一部紹介。２泊３日の行程。初日はまだ暗いうちに島原を出て、福岡で合流飛行機～。夕方には干潟の見える高台にいた。　宿は干潟のすぐ近く、干潟の見える高台まで往復１時間強。２日目は午前７時半には動き出す強行軍を控えながら、復習をきちんとやりたい（あそこはもっと丁寧に見ておきたかった……）。実は、手書きノートを読み返しながら、10年前の想いが甦ってきたのであった。二人の学者先生には、当然の？研究者の行動パターンなのかもしれないが、前夜も深夜まで語り合ったのに、午前５時半、まだ暗いうちに「２時間で行って戻る」決意のもと、動き出した二人の教授。着いて行かない手はない！そしてそこには井手洋子監督も！　そういえば、４人で再強行軍をしたのであった。佐藤先生、高橋先生覚えていますか？か弱き女性が超重たいビデオカメラを担いでの参戦に、われら男３人衆、どう対応しましたっけ？「三脚持ちましょう。」とか。　　※本ブログ、2013年５月のいくつかの記事や、松坂まさおホームページから『青草子』13号を参照いただけば、順天湾視察研修の様子も報告してあります。　
　自分としては、これがあるべき視察研修という自負と、熱心な３人に遅れてはならじ！という使命感のような思い。これ以上は限界という背伸びの連続。学者二人の説明を聞き漏らすまいという気持ちのほうが先にあって、井手監督はそれを記録する同志であった。　今思えば、どのようなドキュメンタリーを構想しているのかまで、踏み込んで聞いておけばよかった。と。
　井手監督にしてみれば、１０年２０年の長いスパンの構想で、思い続けることで、いつかは作品にまとめようという遠大な計画があったようだ。改めて、井手洋子監督の冥福を祈りたい。
　松坂、その思いを引き継ぐだけでなく、あとワンランクいやツーランク、情報収集力を高めることを誓いたいと思います。